自己破産をすると不動産を所有している場合どうなるのでしょうか?
今回は共同名義の不動産がある場合に自己破産したらどうなるのか、またどのように対処することがベストなのかご説明します。
2.共有している不動産を持っている場合、自己破産するとどうなる?
1)自分が自己破産した場合の影響
2)他の共有者が自己破産した場合の影響
1)任意売却をする
2)持分を買い取る
1)任意売却を検討する
2)他の共有者に持分を買い取ってもらう
3)自分の持分を業者に買い取ってもらう
4)自己破産する前に不動産業者に相談する
自己破産とは自分が持っている財産や収入では借金が返済できない場合に、裁判所から支払いができないと認められたうえで借金を免除してもらう手続きのことです。
これは「破産法」という法律で定められた正式な救済措置であり、生活を再生させるための制度です。
自己破産は借金を免除してもらう手続きですが、誰でも対象となる訳ではありません。
自己破産ができる人の条件としては
①裁判所から債務の支払いが不可能と認められること
②債務が税金関係、社会保険料などの非免責債権に該当しないこと
③ギャンブルによる借金、浪費による借金など免責不許可事由に該当しないことなどが挙げられます。
破産手続きが済むと裁判所で免責の判断がおこなわれ、免責決定がおりればいかのようなほとんどすべての負債を免除してもらえます。
①消費者金融
②クレジットカード
③銀行カードローン
④住宅ローン
⑤奨学金
⑥連帯保証債務
⑦携帯電話代
⑧未払い家賃
ただし破産者が所有している一定以上の財産は換価されて債権者へ配当されるため失われます。
-他の共有持分権者には影響しない
共有名義不動産を所有していても、共有持分はそれぞれの共有持分権者の個別の財産です。
家が共有状態のときに自分が自己破産しても、他の共有持分権者には影響しません。
自分が自己破産したからといって夫や妻などの他の共有持分権者の持分まで没収されることはないので、この点については安心してください。
-自己破産者の持分は失われる
自己破産すると破産者本人の共有持分は破産手続きによって失われます。
つまり、共有持分を失うということは不動産の所有権がなくなるため、そこに住む権利や管理、売却などを行う権利がなくなるということを意味します。
-破産管財人によって売却される
不動産を所有している人が自己破産を申し立てると管財事件となって「破産管財人」が選任されます。
破産管財人とは、破産者の財産を預かって現金化したり債権者へ配当したりする人です。
共有不動産を所有している人が自己破産すると破産管財人によって、共有持分は売却されますが、破産管財人はまず共有持分の任意売却を進めます。
金融機関などの許可をとり、共有持分を適正価格で買い取ってくれる人を探すのです。
他の共有持分権者へ買い取りを持ちかけたり、共同売却を進めようとしたりするケースもあります。
-破産管財人によって共有分割請求が行われる
共有持分の任意売却が困難な場合、破産管財人は共有物分割請求を行うことがあります。
共有物分割請求共有物分割請求とは、裁判所を通して分割方法などを決めることです。
土地を分筆してそれぞれの共有者が一筆の土地を取得したり、不動産全体を売却して現金で分けたりするための手続きです。
他の共有持分権者が買い取りを希望するなら、適正価格を算定して共有持分を売却します。
-競売になることもある
住宅ローンが残っており、共有不動産に抵当権が設定されている場合には、抵当権者である金融機関が競売を申し立てます。
競売とは不動産を強制的に売却し、売却益を債権者に支払う制度です。
しかし、共有持分にしか抵当権が設定されていない状態であれば不動産全体を競売にかけることはできません。
不動産が共有状態であるなら破産者名義の共有持分のみが競売にかけられます。
配偶者や他人と不動産を共有している状態で、その人が自己破産をして共有持分を失った場合、自分の持分はどうなるのでしょうか?
-自分の持ち分を失うことはない
自分以外の共有者が自己破産をして不動産の所有権を失ったとしても、自分自身が自己破産をしていなければ、共有持分を失うことはありません。
たとえ破産者が配偶者であっても同様です。
しかし配偶者の場合、自分が「連帯保証人」になっていればその債務が自分に移行するため注意が必要です。
-知らない人との共有状態になる
共有持分権者が自己破産をすると、基本的には破産者の共有持分のみの売却が進められ破産者の共有持分は、他の人のものとなります。
任意売却でも競売でも、購入されると共有持分は共有持分の購入者すなわち第三者のものとなります。
その結果、他の共有持分権者は見ず知らずの第三者と不動産を共有する状態になってしまいます。
たとえば夫婦で家を共有しているときに夫が自己破産すると、夫名義の部分が知らない不動産会社の所有物となり、妻は知らない不動産会社と家を共有し続けなければなりません。
たとえ妻の名義が失われないとしても、大きな不安と不便が生じる事でしょう。
-管理や売却などが自由にできなくなる
知らない人や不動産会社と共有状態になってしまうと、不動産の管理や売却が自由にできなくなってしまいます。
破産者の共有持分のみが第三者のものになると、その後の共有物の管理方法が複雑になります。
家を改築する、人に家を貸したいなどと思ったとしても、共有者が合意しなければ成立しません。
共有者が夫婦であれば2人で話し合って家の管理方法や処分方法などを決定できるでしょう。
しかし第三者が共有者になれば、その第三者と話し合って家の管理処分方法を決定しなければなりません。
コミュニケーションが取りづらい他人との共有状態は、管理や売却がスムーズにいかずストレスを感じる場合があります。
このように、家の共有名義人が自己破産すると自分たちの家であるにもかかわらず自由に使えない上、他の共有者にも多大な迷惑をかけてしまいます。
知らない人と共有状態になると、管理や売却の問題以外にもトラブルを招くことがあるため、回避するための対処法をご説明しましょう。
任意売却とは、債務者と金融機関と協議して自主的に不動産を売却する方法です。
ローンが残っている場合、名義人であっても勝手に家を売却できません。
ただし金融機関から許可をとれば、自分で不動産会社に依頼して家の売却を進められます。それが任意売却です。
共有者が自己破産をした場合、破産管財人と協力して、任意売却を行います。
競売よりも高額で売れる可能性があるため、任意売却によって得られた売却金は、残ローンの返済に充てられます。
自宅を失うことにはなりますが、他人との共有状態を避けることができます。
破産管財人や、破産者の共有持分を買い取った業者などから「持分を買い取らないか?」といった連絡が来ることがあります。
自分に資産があるのであれば共有持分を買い取り、単独所有にすることもいいでしょう。
他人との共有状態を避けることができ、不動産の売却、管理などが自分1人の判断でできるためメリットは多いです。
買い取り価格は通常、不動産価格から共有持分割合を算出した額になりますが、相手との交渉で自由に決めることができます。
自己破産の手続きを進める前に、共有名義の不動産を持っているのであればやっておいた方がいいことをご紹介します。
2人以上で共有している不動産を任意売却するためには、共有者全員の合意が必要となります。
自己破産することを知られたくないという場合でも、素直に話さなければ合意を得られないかもしれません。
上記で説明した共有者が自己破産した場合の影響を伝え、任意売却をすることのメリットを理解してもらいましょう。
-任意売却のメリット
①借金返済にあてられ自己破産を避けられる可能性がある
破産手続きが開始すると、共有持分のみの売却が原則となります。
通常共有持分のみの取得を希望する人は少なく、需要が小さいためどうしても売却価額が少額になるものです。
これに対し共有名義人と協力して不動産全体を売却する場合には、通常の市場価格で売れるので破産手続き開始後よりも高額で売れるでしょう。
任意売却は競売よりも高額で売れる場合があるためローンなどの借金返済にあてることができます。
それによって自己破産を避けることができるかもしれません。
②「同時廃止」になる可能性がある
自己破産には同時廃止と管財事件の2種類の手続きがあります。
管財事件とは、一定以上の財産がある場合に選択されるもので、高額な管財予納金を支払う必要があります。
家などの不動産を持っていると「一定以上の財産がある」とみなされて「管財事件」を選択される可能性があります。
同時廃止の条件…財産額が33万円未満
管財事件の条件…いずれかに該当した場合
・財産額が33万円以上
・法人代表者や個人事業主
・債務額が5000万円以上
・免責不許可事由がある、または調査の必要性がある
自己破産前に任意売却をすると、大きな財産としての「家」がなくなります。
任意売却により不動産を手放しておけば財産がないと判断され、同時廃止が選択される可能性があります。
同時廃止は管財予納金を支払う必要がなくなります。
同時廃止では破産管財人も選任されず、手続きがとても簡単です。
破産手続きが同時廃止になる可能性が高まることは大きなメリットとなるでしょう。
③他の共有者へ迷惑をかけずにすむ
共有状態のまま自己破産すると、共有持分権者は破産手続きに巻き込まれます。
破産管財人から買い取り要請を受けることもありますし、共有持分が第三者名義になったら知らない不動産会社と家を共有することになって大きなストレスを感じるでしょう。
自己破産の前に任意売却をしておくことで、このようなトラブルを回避することができます。
④競売を避けることができ、周囲に知られず売却できる
自己破産をして共有持分が競売にかかってしまったら、競売情報が全国に公開されてしまいます
そうなるとプライバシーを侵害されることもあるでしょう。
任意売却であれば通常の不動産売買と同様、自分たちの意向で売却することができます。
周囲の人にも借金があるから競売になったなどと知られることなく売ることができます。
-任意売却の場合の注意点
自己破産前に不動産全体を任意売却するには、共有名義人全員の合意が必要です。
夫や妻などと共有している場合、事情を話して売却に納得してもらわねばなりません。
借金を秘密にしている場合などには言い出しにくいこともあるでしょうし、相手が家を売りたくないと主張するかもしれません。
その場合、破産になったらどのようなリスクがあるのかを説明して、説得しましょう。
他の共有者が任意売却を拒否する場合、自分の持分を他の共有者に買い取ってもらうこともひとつの方法です。
資産を手放しておくことで、同時廃止を選択される可能性があったり他の共有者へ迷惑をかけずにすんだりします。
他の共有者が任意売却や持分の買い取りに積極的ではない場合、専門の業者に持分のみを売ることができます。
持分を失うことでその家に住むことはできなくなりますが、買い取ってくれた金額によっては自己破産を免れることができるかもしれません。
任意売却のメリットで説明しましたが共有持分を持っている状態で自己破産手続きをしてしまうと管財事件となり、費用や手間がかかる可能性があります。
自己破産にはデメリットも多いため、解決できるのであれば回避したほうがベストです。
任意売却や持分売却によって自己破産を回避できるかもしれないため、手続きをする前に不動産業者などのプロに相談してみるといいでしょう。
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