共有不動産は他の共有者から共有持分の買い取りが可能です。またすべての共有者からも持分買い取りが可能です。
他の共有者から持分を買い取る方法には
①話し合いにより他の共有者の持分を買い取る方法
②共有物分割請求訴訟によって強制的に買い取る方法の2つがあります。
共有名義不動産のトラブル解決法の1つである持分の買い取りとその手順ついてご説明します。
1)共有持分の売買の可否交渉をする
2)買取り価格の交渉をする
3)売買契約書を作成する
4)不動産の持分権の移転登記をする
1)共有物分割請求とは
2)全面的価格賠償の要件を満たし強制的に買い取ることができる
3)共有物分割請求ができないケース
不動産を複数人で共有している場合、他の共有者から共有不動産の共有持分を買い取ることができます。
共有持分に関しては一部の共有者からのみ持分を買い取ることも、全ての共有者から持分を買い取ることもできます。
共有持分については、共有持分を持っている人と買う人との間で合意ができれば売却や買い取りが自由に行えるのです。
共有持分の買い取りをしたい場合には、共有持分を持っている人に対し買い取りの交渉をする必要があります。
他の共有者と買い取り交渉をして売却に合意してもらい、買い取り条件を決めて必要な手続きを実施することになります。
そのためまずは買い取りたい共有持分の権利者に対し、持分を買い取りたい旨を申し入れます。
相手が売却しないとなった場合には、粘り強く説得して売却に応じてもらわないといけません。
交渉の際には色々なメリットを考え準備し、交渉することが良いでしょう。
共有不動産の持分があることによる不都合がどのようなことか、共有不動産の持分を売却することでどのようなメリットがあるのか、共有持分を集め一体的な利用をすることによる経済的メリットなどを具体的に話し、持分権者へ説得を行なって納得してもらうことが大切です。
2)買取り価格の交渉をする
相手が売却に応じてくれるようであれば、次のステップです。
共有持分の買取り価格の交渉をします。
他の共有者から持分を買い取る場合、買取り価格はその共有者との話し合いによって決める必要があります。
買取り価格はどのような価格にしなければならないという決まりはなく、お互いが了承すればその価格で売買を成立させることができます。
そこで重要なポイントはいくらで他の共有者の持分を買い取るかという点になります。
買い取りの場合には持分を売却する方から不当に高額な金額を提示されないように客観的資料を集めておく必要があります。
そのために共有不動産の持分価格を決めるための基本的な考え方を押さえておく必要があります。
持分価格は基本的には不動産の時価を基準にします。
持分価格を決める時には、まずは不動産全体の価格を知るところから始めます。
不動産の価格評価方法には市場価格や路線価、公示価格や固定資産税評価額などいくつかの方法がありますが、このとき基準にするのは市場価格です。
そして不動産全体の市場価格を持分価格で割って、だいたいの相場の金額を算出します。あとは話し合いによって微調整すると良いでしょう。
たとえば3,000万円の価格の不動産について、3分の1の持分を買い取る場合には、3,000万円×1/3=1,000万円が基準になります。
ですが持分買い取りの場合、持分のみを所有していても不動産を自由に処分・管理することができず活用することが難しいので、不動産全体を買い取る場合よりも面積あたりの単価が低くなることが普通です。
ですから共有持分の買い取り交渉をする場合には、持分割合のみの売却であることを理由に、計算した持分価格よりも値切る方向で交渉をすることができます。
一般市場で第三者が持分を買い取る場合20%~30%減額されるのが一般的です。
これを共有減価といい、上の例であてはめると3,000万円×1/3×70%=700万円という計算になります。
反対に相手が売りたくないという場合には、相場よりかなり高額になってしまうこともありえます。
どうしてもその不動産持分がほしいケースや相手があまり売却に乗り気でないケースでは、共有持分であっても価格が上がることがあるからです。
共有持分買取り価格を決める場合には、ケースに応じて上手に対応する必要があります。
3)売買契約書を作成する
交渉の末、共有持分権者との間で売却価格について合意ができたら、その内容を踏まえて売買契約書を作成します。
他の共有者から持分を買い取る際には不動産の仲介業者を介入させないことも多いですが、そのような場合は自分たちで売買契約書を作成しなければならないため注意が必要です。
売買契約書には物件の特定(どの不動産の持分を買い取るのか)、共有割合、売却価格や支払期限、支払方法、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)などの重要な事項についてきちんと条項を設けましょう。
売買契約書は非常に大切なものですので、後から問題が起こらないように作成にあたってはしっかりノウハウを持っている専門家のサポートを受けた方がいいでしょう。
4)不動産の持分権の移転登記をする
共有持分の買い取りについて売買契約書を作成したら、その内容に従って決済を行います。
具体的には相手に対して売買契約書に記した売買代金を売買契約書に記した時期、支払い方法によって支払い相手の共有持分を自分に移転することに伴い不動産登記を行います。
共有持分が売買されると、共有持分権者が変更されるので名義も書き換えなければなりません。
そのための手続きが共有持分移転登記となります。
この登記を行う際に登記費用が発生しますが、買い取り人である方が負担することが通常と思われます。
このように共有持分の買い取りに成功し、不動産登記を行うことで自分が不動産の完全な所有者になればあとは自分だけの判断で不動産全体を活用、売却したりできるようになります。
2)全面的価格賠償の要件を満たし強制的に買い取ることができる
共有物分割請求で全面的価格賠償の要件を満たせば、他の共有者の持分を強制的に買い取ることができます。
全面的価格賠償の要件を満たすとは以下の2つの条件を満たすことを言います。
① 当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であること
-特定の者が不動産に現在居住し、引き続き居住を希望している場合
-特定の者が過半数以上(50%以上)の割合を持っている場合
-特定の者が居住していなくても、事業など(会社や店)を営んでる場合
② 価格が適正に評価され、当該共有物を取得するものに支払能力があり、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害さないこと
-不動産鑑定などで適正に評価されている場合
-代償金を払う能力があることが証明されている場合(残高証明など)
-特定の者が所有権を取得しても他の共有者には不都合がない場合
3)共有物分割請求ができないケース
共有物分割請求によって特定の共有者が著しく不利益を受ける場合は、権利濫用として共有物分割請求ができないケースもあります。
権利濫用は共有物分割請求に限らず、認められた権利だからと不当な目的で行使し、主張することがないように民法で規定されています。
権利があるからといって、状況に関係なくむやみにこれを行使されてしまうと社会の秩序が乱されるなど、不都合な状況もありえます。
具体的には共有物分割請求訴訟を起こした側に十分な資力があり、共有物分割請求を認めると一方が不利益を被るとされて権利の濫用が適用されたケース、共有者の1人が共有物件を生活拠点としており共有物分割請求が認められると住む場所がなくなり他に引っ越すことも難しいなど、一方的に共有物分割請求をされた側が不利益を受けるケースでは権利濫用と解釈されやすい傾向があります。
実際に他の共有者の持分を買い取ろうとした場合、相手との交渉はうまくできるのか、売買契約書作成や不動産の移転登記などスムーズに解決できるのかなど色々な難しいハードルが待ち構えているものです。
裁判になるともっと煩わしいことでしょう。
特に共有者間に感情的な憎しみや妬みといった軋轢がある場合は当事者同士では話を進めるのは非常に困難だと思います。
共有持分の買い取りでお悩みの方は専門的な知識、ノウハウがある不動産業者や第三者に間に入ってもらったほうが良い結果が生まれる事でしょう。
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