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共有者が行方不明でも不動産を売却する方法はあるのか?

共有名義人が行方不明になった場合、そのまま放置してしまうと税金や管理などが大変になってしまいます。
またすでにトラブルになっている・行方不明者がいてどうしようもできない状態だ!という方のために、不動産の共有名義人が行方不明である場合の正しい売却方法について解説します。

1.共有者が行方不明の共有不動産を売却する流れ
2.「失踪宣言制度」の利用
3.「不在者財産管理人制度」の利用
4. 共有者が行方不明の場合の対処法について


1.共有者が行方不明の共有不動産を売却する流れ

共有名義不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です

共有者が4人であれば4人全員の、7人であれば7人全員の同意がなければ共有不動産を売却することはできません。

では、共有者のなかに行方不明の人(不在者)がいた場合はどうしたらいいでしょう。

家や土地の所有者が行方不明の場合、他の人が代わりに売却することはできるのでしょうか?

 

結論からいいますと、共有者が行方不明の場合でも共有名義不動産は売却可能です。

 

共有不動産を売却する際に行方不明の人がいる場合に利用できる制度として

「失踪宣言制度」もしくは「不在者財産管理人制度」を利用することがよいでしょう。

また、「全面的価格賠償」という方式も選択肢としては考えられます。

この3つの方法についてご説明します。

2.「失踪宣言制度」の利用

1)「失踪宣告制度」とは

 失踪宣告制度は不在者の生死不明の状態が一定期間継続した場合、その人を法律上死亡したものとみなす制度です。

 

これは民法総則 第30条 <失踪の宣告>で、不在者の生死不明の状態が長く継続した場合、その財産関係や身分関係を確定するために、失踪宣告の要件を定めるものである。利害関係人とは、法律上の利害関係を有するもの(配偶者、相続人、親権者等)をいい検察官は含まれないと定められています。

 

2)普通失踪と特別失踪

失踪宣告の申し立てをするにはまず、失踪状況を明確にすることが必要です。

失踪宣告には「普通失踪」と「特別失踪」がありますが、この2つは内容が異なります。

 

「普通失踪」は行方不明者の生死が7年間分からない場合、死亡したものとみなすものです。

特別失踪に該当するような原因がなく、生死が7年以上わからない場合は失踪宣告を申し立てることが可能です。

普通失踪の申し立てが承認されると、失踪した日から7年経過した日に死亡したものとみなされます。

 

「特別失踪」は、災害や船舶の沈没など死亡の原因となる危難に遭遇した人について、その危難が去った時から1年間が経過しても生死不明という場合に認められる失踪宣告です。

そのためこの特別失踪は「危難失踪」とも呼ばれます。

死亡の原因になる得る戦争や船舶事故、自然災害などの災難に遭遇した人の生死が不明になった場合、特別失踪の申し立てができます。

特別失踪の場合、失踪宣告がなされるのは該当する災難が去った1年後です。

 

3)失踪宣告の申し立て方法

-失踪の申し立てをする

失踪宣告の申し立て先は、行方不明になっている人の住所地がある家庭裁判所です。

 

失踪宣告の申し立てができるのは行方不明者(失踪者)と利害関係にある人です。例えば、配偶者、相続人、遺言で財産を取得する人、財産管理人などです。

利害関係のない親戚や友人が申し立てることはできませんが、利害関係がある人に申し立てを委任することは可能です。

 

申し立てが終わると家庭裁判所の調査が入り、書類の確認や聴き取りが始まります。

また、申し立てをしてから失踪宣告が確定されるまでの期間は公示催告を含めると早くても約6ヶ月程度かかります。

公示催告とは行方不明者本人や生存を知る人は届け出るように、裁判所の掲示板などで催告することです。

公示催告の期間に届け出がなければ、失踪宣告が確定されます。

 

-失踪の届出をする

失踪宣告が確定したら、10日以内に行方不明者の本籍地、もしくは申し立てた人が住んでいる地域の役所に失踪の届出をします。

失踪の届出をするときは、家庭裁判所から交付してもらう「審判書謄本」と「確定証明書」が必要となります。

なお、失踪宣告を受けると、婚姻の解消・相続の開始・相続人からの除外・死亡保険金の請求、などが認められます。

 

失踪宣告によって、行方不明の共有者が死亡したものとみなされたなら、その行方不明者に相続人がいる場合は、その相続人の同意を得たうえで共有不動産を売却することが可能になります。

 

また相続人がいない場合には、行方不明共有者の持分は他の共有者に帰属することになり、行方不明者以外の共有者の同意があれば不動産を売却することができます。

 

ここで注意が必要なことは失踪宣告が確定し、失踪届を出し終えただけではまだ売却はできません。

なぜかというとまだこの段階では家や土地の名義は行方不明者のままだからです。

役所、役場に失踪の届出をしたら次は法務局で所有者の相続登記(名義変更)が必要です。相続登記が完了すると家や土地は相続された人のものになるため、売却することができます。

 

-行方不明者が発見された場合

なお、失踪宣告は行方不明の人を法律上、死亡したものとみなす制度ですから失踪宣告を受けた人が帰ってきた場合には失踪宣告は取り消されます。

もし失踪宣告を申し立てた後に行方不明者が発見された場合は、失踪宣告の取り消しを申し立てることができます。

また失踪宣告が取り消されたときは、原則として宣告される前の状態に戻さなければなりません。

 

3.「不在者財産管理人制度」の利用


不動産の共有名義人が行方不明という場合、不動産を売却するもう一つの選択肢として「不在者財産管理人制度」を利用する方法があります。
1)「不在者財産管理人制度」とは

不在者財産管理人とは行方不明者の代理となり、財産を管理する人のことで、行方不明になった人の代わりに家や土地を売却することが可能です。

共有名義で行方不明者がいる場合「不在者財産管理人」を選任することで売却が可能になります。

 

ここで言う「不在者」とは、「従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者」、つまり行方不明になっている人のことを指します。ただ1週間や1ヵ月程度ではなく1年以上行方が分からない人を法律上「不在者」と呼び、その人の財産の管理・保存を行う人が不在者財産管理人です。

 

失踪宣告とは異なり、7年経過していないといけないというような期間の縛りがなく、行方不明者の生死も関係ありません。

 

2)不在者財産管理人の専任

不在者財産管理人に選任されるのは利害関係のない第三者であり、不在者の親族に適任者がいない場合、弁護士や司法書士などの専門家が選任されます。

 

不在者財産管理人の候補者が決まれば、家庭裁判所で不在者財産管理人の選任の申し立てをします。

 

申し立てができる人は失踪宣告と同じく利害関係のある人(配偶者、相続人など)です。

 

家庭裁判所に申立書を提出する際は、「不在者の財産管理人を選任するとの審判を求めます」というように申立の趣旨を明記すると共に、「不在者は、平成〇年〇月〇日、〇〇方面へ出かけて以来音信が途絶え、その後その行方を探してきましたが本日までその所在が判明しません」など、申立ての理由を詳細に記します。

ここでの注意点は、行方不明者の財産よりも不在者財産管理人への報酬や管理の費用などの方が高額になる場合は、不足の分を申し立てた人が支払うことになります。

 

3)権限外行為の許可

選任された不在者財産管理人の権限は「①財産の保存行為」「②性質を変えない範囲での利用・改良行為」に限られています。

そのため共有不動産を売却する際には再度、家庭裁判所にその許可を求めなければなりません。

 

不在者財産管理人が決定したら家庭裁判所に「権限外行為の許可」を申請して許可をもらう必要があります。

 

そして、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で売却することになります。

この権限外行為の許可がない場合、不在者財産管理人が行方不明者の不動産を売却することができないので注意が必要です。

 

家庭裁判所に「権限外行為許可」の申し立てをすると、承認するかどうかを判断するために申し立てた人や不在者財産管理人が呼び出されて事情確認される場合があります。

 

権限外行為の許可が下りれば不在者財産管理人が行方不明者の家や土地を売却できるようになります。

4.共有者が行方不明の場合の対処法について

もう一つ、共有不動産の分割方法には「全面的価格賠償」という方式があります。

これは他の共有者に対して共有物分割請求を行うことによって、他の共有者の持分を強制的に買い取る方法です。

たとえば一つの土地に三人の共有者がいたとして、そのうちの一人が他の二人の共有持分を買い取るわけです。

 

もちろん無条件でできるわけではなく、次のような条件を満たす必要があります。

① 共有者の一人に不動産を取得させるのが相当であること

② 格が適正に評価され、不動産を取得する人に支払能力があって、実質的公平を害しないことなどの条件を満たすこと

 

端的に言えば「支払うお金がある」ということです。つまり、全面的価格賠償が認められるためには、共有物を単独で所有することになる人が「支払い能力」を持っていることが重要な要素とされているのです。

 

こうした条件が整っている場合、共有者が行方不明であっても全面的価格賠償方式で問題に対処することが可能である場合も考えられます。

 

いずれの場合も共有名義不動産の状態によって、適切な方法を選択するためにも是非、専門家へのご相談をお勧めします。

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