今後アパートやビル、マンションなど家賃収入を得る目的で所有を考える場合、共有名義で購入を考えることもあるかと思います。
その際、共有名義での投資用不動産に関するトラブルや問題点、対処法について考えてみます。
1.収益不動産を共有名義で投資するメリットとデメリット
1)収益不動産を共有名義で投資するメリットについて
2)収益不動産を共有名義で投資するデメリットについて
2.収益不動産を共有したときに必ず直面する課題について
1)共有名義の収益不動産の管理者の選定
2)家賃絡みのトラブル…収益の分配
3)修繕費や税金の負担
3.収益不動産を共有する際の注意点
1)収益不動産を共有する際に生じる問題点
2)トラブルに対する対処法
1)収益不動産を共有名義で投資するメリットについて
-単独では資金的に追いつかない物件も購入できる
1人では資金が足りない不動産でも共有にすることで投資が可能になります。
条件のいい不動産を見つけても資金が足りないという場合に、複数人で協力すれば投資が可能です。
条件が良ければ入ってくる収益も大きくなる可能性があるので、投資としてはいい方法だといえるでしょう。
-いくつかの土地の所有者同士が合意し、共有でひとつの建物を建てて収益の最大化を臨める
複数の土地を所有している者同士で合意し、その土地上に1つの建物を建てるという方法をとることで、条件が良ければ入ってくる収益も大きくなる可能性があるので投資としてはいい方法だといえるでしょう。
それぞれの負担が少なく、収益が得やすい投資といえます。
2)収益不動産を共有名義で投資するデメリットについて
-投資用不動産は住宅ローン控除を受けられない
共有名義不動産に限った話ではありませんが、住宅ローン控除は居住用不動産に対して融資される住宅ローンのみが対象になります。売却時の控除に関しても同様です。
住宅ローンで不動産投資を行うと最悪、不正行為として融資を受けた金額の一括返済を求められることもあり、非常にリスクが高いので気をつけましょう。
-不動産投資で共有名義にすると管理が大変
大規模修繕については全員の合意が必要ですし、そもそも進んで管理を行ってくれる人も少ないです。
また物件の売却についても注意が必要で、所有者全員の同意がなければ物件の売却はできません。金額をどうするか、時期をどうするかなど売却には決めるべきことが多くあります。
1人でも意見が違うと修繕や売却などが難しくなってしまいます。
金額や引き渡し時期についてひとりでも不満の声をあげ合意が得られないと話が進まなくなってしまいます。
所有者内で相続が発生した時など、タイムリミットがある売買の時には共有持分だと売却がとても複雑になることもあるので注意しましょう。
1)共有名義の収益不動産の管理者の選定
収益不動産を共有したときに必ず直面する課題が管理者の選定です。
その理由は管理者にはさまざまな負担と苦労があり、相応の責任も問われる存在だからです。
兄弟又は複数人でマンションを相続することになって自分から率先して不動産を管理すると手を挙げる共有者はまれです。
管理者はまず自分でマンションの管理そのものを担当するのか、それとも不動産管理会社などに依頼するのか、さらに依頼するとしたらどこの会社がふさわしいか決めないといけません。
決めたら家賃や敷金や保証金も設定し、修繕やリフォームのタイミングを見越し資金を確保するプランを立てないといけません。
また、共有者間での信頼関係も問われてきます。「毎月バラバラの金額が振り込まれているがきちんと会計できているのか。自分が損をしていることはないだろうか」という疑念を他の共有者が抱いたら管理者との間に亀裂が入るきっかけにもなりかねません。
管理者は定期的に共有者へ情報を提供する責務を担うことになるでしょう。
その他にも多種多様な雑務が管理者に与えられることになります。他の共有者たちに信頼されていることは前提として責任感が強く、細かいところまで配慮できお金のやりくりや交渉が得意な方でないと難しいでしょう。
この管理者の選定を慎重に行わないとトラブルの元となってしまいやすいのです。
2)家賃絡みのトラブル…収益の分配
収益不動産における最も多いトラブルといえば家賃絡みのものになります。
「家賃の設定額に疑問」「家賃をもらえていない」「分配額に納得がいかない」など収益不動産はその名の通り収益を得るための物件です。
終始お金が絡んでくるのですから、お金に関わる不満をきっかけにトラブルとして発展している事例は後を絶ちません。
家賃収入の分配は持分比率が原則です。
3人で3分の1ずつの持分で共有していたら、もらえる家賃も3分の1ずつの均等割です。
しかしここに加減要因は見込まれるでしょう。例えば賃貸に関する諸々の責任を負っている管理者は、手数料として少し取り分を上乗せするといった具合です。
この辺はしっかり協議して事前に決めておきましょう。
3)修繕費や税金の負担
不動産経営には修繕費やリフォーム費や各種税金など、何かとお金がかかるものです。それらの出費を共有者間でどのように負担するのかの詳細は、トラブルの元になりやすいので必ず事前に決めておきましょう。
これも基本は家賃と同じで持分比率に応じるのがよいでしょう。ただ問題となるのは「その出費は本当に必要経費なのか?」という点です。
「壁の修繕をそろそろしないと」「いやいやまだ大丈夫だろ。出費はできるだけ抑えよう」「でも壁が汚れていたら入居希望者が減るかもしれないし」「安全性が保証されていれば多少見栄えが悪くても入居はつくさ」といった議論が共有者間で交わされることもあります。
議論が平行線をたどることのないよう経費を捻出するスパンや用途まで決めておくと後々の議論交渉が円滑になります。
一番手っ取り早いのは「経費については管理者に一任」と書面に明記し約束し合うことです。
1)収益不動産を共有する際に生じる問題点
収益不動産はお金と直結しています。
家賃がもらえないのもその一つですが、そのほかに家賃の分配割合が納得いかない、経費の分担について意見が一致しない等々、収益不動産の共有にはお金がらみのトラブルが発生する可能性が非常に高いのです。
よくあるトラブルの一つに、共有している収益不動産の一室に共有者の一人が住んでいるケースがあります。その場合、その共有者の家賃はどうするのか。
賃貸収入の分配と相殺にするのかどうかという問題が起こります。
あるいは共有者の一人が他の共有者に断りなく改修を施し、その工事費の分担金の請求が送られた、また工事費の分担を要求されたが実際に工事したのかどうか分からないなど、トラブルの要因はいくらでもあるのです。
2)トラブルに対する対処法
-しっかり事前に協議して書面に残す
収益不動産を共有する際は家賃の分配などについて協議し、その結果を書面として残しておくなどトラブルが発生しないよう十分配慮する必要があります。
管理をおこなうのは誰なのか、賃貸に関する諸々の責任を負っている管理者は手数料として少し取り分を上乗せするといった具合にしっかりと報酬も協議して事前に決めておきましょう。
大規模な修繕をおこなうときは全員の合意がなければ不可能なため、いつでも連絡が取れるように方針を決めておくことも大切です。
このように諸々の事案を事前に協議し書面として残しておけばトラブルは未然に防ぐことができるでしょう。
不透明感をなくすことが肝心です。
-不当利得返還請求権
民法703条は「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」としています。
どういう事かといえば「正当な理由もないのにAさんに分配されるべき賃貸収入で利益を受けた兄弟のBさんは、そのためにAさんに損失を及ぼしているので
Aさんに分配されるべき賃料収入相当の額を返還しなければならない」ということになります。
「正当な理由のない利得」のことを法律では「不当利得」と言います。
そしてこの不当利得を返還するよう請求する権利が「不当利得返還請求権」です。
Aさんは、Bさんに不当利得の返還を請求する権利があるわけです。
-専門家に相談
それでもなお共有名義の収益不動産はトラブルが発生する可能性が高く、事実その例は少なくありません。
それは先ほども説明したように収益不動産はお金と直結しているからです。
このように収益不動産の共有は難しく、トラブルの解消にあたる専門家の多くが共有をおすすすめしないのには多くの事例からくる理由があるのです。
以上のようなことを踏まえ実際には是非、専門家の意見をお聞きすることをお勧めいたします。
◆共有持分の売却をお考えの方へ◆
当サイトは独自で行った調査結果を基にスコア評価を行い買取業者比較をランキング形式で紹介しています!
おすすめ不動産会社ランキングはこちら
おすすめ不動産会社ランキング
株式会社中央プロパティー
95/100点
社長が専門家としてTVや雑誌で多数紹介。独自の入札方式で高値売却を実現。不動産鑑定士による調査報告書有り。
株式会社大正ハウジング
55/100点
1995年設立の社歴のある買取専門会社。センチュリー21の加盟店。東京都内の交通広告でおなじみ。
一般社団法人 不動産あんしん相談室
50/100点
代表者が女性で相談しやすい雰囲気。一般社団法人。大阪エリアに強い。
株式会社蒼悠(港コンサルティング)
50/100点
関西エリアに強い大阪の不動産会社。年間の相談実績が200件超。無料の訪問査定有り(机上査定も対応可)。
株式会社チェスター
40/100点
相続税専門の税理士法人グループ会社。東京、横浜、大阪に支店あり