新型コロナウイルスによって世界が一変し、いわゆる「新しい生活様式」などの言葉も今は聞きなれたように思いますが、「コロナ離婚」なども話題になったかと思います。
コロナに伴いステイホームすることによって一緒に過ごす時間が増えれば増えるほどお互いの存在が厄介になり、離婚に至るとは何とも心苦しい話ですね。
でも、離婚をするにも色々と厄介なことが多く疲労困ぱいして心身ともにダウンする方が多いみたいです。
特に夫婦で持ち家を共有している方は離婚の際、財産分与の問題で手続きがすごく大変だと聞きます。また、地方で価値の低い共有名義不動産の権利を放棄したいと言われる方も後を絶たないようです。
共有名義不動産で共有者の1人が自分の持ち分の権利を放棄することを「持分放棄」といいます。
この「持分放棄」について少しお話したいと思います。
-共有名義不動産の「持分放棄」とはどういうことなのか?
-「持分放棄」したい場合、どのような手順で行えば良いのか?
-「持分放棄」と贈与の違いは何か?
-「持分放棄」のメリット、デメリットは?
「持分放棄」とは共有者の一人が共有物である自己の持分を放棄することです。
簡単に言えば不動産などの共有物の自分の持分の権利を一方的に「いらない」と宣言することです。
民法では共有持分放棄について以下のように定められています。
(持分の放棄及び共有者の死亡)
民法255条 共有者の一人がその持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は他の共有者に帰属する。
「持分放棄」の方法は共有不動産関係を解消するために共有者が自分の意志でする場合と、共有者が死亡し、その人に相続人がいない場合に取られる方法です。
なので「持分放棄」がとられるのは、夫婦で共有不動産を取得したのち離婚するケースに多く見られ、他には共有者の一人が亡くなって相続人がいない時、その他の共有者に亡くなった人の持分が引き継がれるケースが多いのです。
※実際に離婚に伴う共有名義問題は、財産分与として処理されるケースがほとんどです。
では、放棄された持分はどうなるのか?
共有物の持分を放棄すると、放棄された持分はその他の共有者の持ち分に帰属します。残された共有者が複数いる場合には、各共有持分の割合に従って持分が帰属します。
例えば、4000万円の土地の持ち分がAさん2分の1、Bさん4分の1、Cさん4分の1ずつだとします。
この時、Cさんが持分を放棄したら、Cさんの持分の4分の1が半分ずつではなくAさん、Bさんに持分の割合によって帰属されることになります。
なので、Aさんには16分の3、Bさんには16分1の持分が帰属します。
土地や建物などの不動産の「持分放棄」した場合、不動産の共有持分権は「登記」によって公示されていますので、持分権者の変更内容を書き換える必要があります。
ですので、この場合の登記は「持分放棄」を登記原因とする所有権移転登記を申請することになります。
ここで注意点があります。
共有者の持分の放棄は単独行為と言われ、この単独行為は契約とは異なり放棄する人の意思表示にのみによって、持分放棄の効果が生まれます。
しかし、不動産登記においては共有不動産の持分放棄による所有権移転登記は、放棄する人と他の共有者との共同申請の形が取られております。
つまり、「持分放棄」は、持ち主が自由にその権利を放棄できますが、不動産登記をし直す時は、放棄する人とその持分を受け取る他の共有者とで共同申請をしなければなりません。
-共有者に通知を送る
共有名義不動産の「持分放棄」は単独行為ですので自分ひとりでもできる行為です。そのため相手の同意は不要です。
しかし共有者に知らせなければ放棄したか誰にもわからず、登記もできません。なので放棄の事実を共有者に告げなければなりません。 通知の方法は口頭でも有効ですが、後々トラブルになるおそれがあるので通常は「内容証明郵便」を用いて通知します。
内容証明郵便の書き方の例は放棄したい不動産の明細と「下記不動産の共有持分〇分の〇を全部放棄する」と書けば大丈夫です。
-「持分放棄」の手続きは、所有権移転登記手続きで完了
「持分放棄」の登記を申請する場合の必要書類は次の通りです。
持分を放棄する人が準備する物
・登記済書(権利証)または登記識別情報
・印鑑証明書※発行日から3ヶ月以内のもの
・固定資産税評価証明書
・実印
・本人確認資料
持分を受け取る共有者が用意するもの
・住民票
・認印
・本人確認資料
-登記に掛かる費用
書類の提出が済めば、持分を受け取る人は登録免許税を支払います。
登録免許税=固定資産税評価額×(受け取る持分の割合)×1000分の20(2%)
その他に住民票や印鑑証明の取得費用に250円~300円、固定資産評価証明書の取得費用250円~300円掛かります。
登録費用はどちらが負担すべきかルールはありませんが一般的には放棄した人が支払います。
「持分放棄」とよく似た共有名義不動産の権利の解消法には贈与による不動産所有権移転があります。
放棄と贈与は「単独行為」か「契約」なのかという点で大きく異なります。
放棄は「単独行為」なので相手の同意もいりません。
放棄すれば、共有相手は「要らない」と思っていても、強制的に共有持分を取得させられます。
一方で「贈与」は契約です。
他の持分権者が納得していないのに強制的に贈与することは不可能です。また贈与契約は一対一で行うので他の持分権者が複数いても、贈与の相手方以外の持分権者には持分が移転しません。
さらに、共有者分権者以外の第三者へ共有持分を移転することも
可能です。
共有持分を放棄した場合でも他の持分権者に贈与税がかかる可能性があります。
不動産の共有持分には不動産の割合分の価値がありますので、共有持分を放棄してその持分が自分の物になったら、贈与を受けたことと同じ結果になります。
この時、贈与税がかからないと共有名義不動産の場合、誰もが放棄を選択し贈与する人はいなくなることでしょう。こうやって税金逃れを防止するために共有持分が放棄されて他の共有者へ移転された場合にも、贈与と同じ扱いになる可能性があるということです。
共有不動産を所有していれば、共有者どうしの意見が対立しやすくストレスを抱えることが多くなります。
共有不動産の権利放棄はこの共有関係から解放される方法の1つで、共有持分を手放すことによって固定資産税などの納税義務が免除されることが大きなメリットでもあります。しかし持分を放棄した人は共有状態から離れストレスから解放されますが、その代償を得ることはできません。
持分の権利を失うので、その後に不動産を売却した場合などにお金を受け取ることができなくなります。一切お金は入ってこず、むしろ登記費用がかかり出費になります。
このように共有不動産関係を解消したい、でも損はしたくないと考えるのであれば専門家に相談し、事態の収拾をするようにしましょう。
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