新型コロナウイルスの影響により、イベントごとが軒並み中止、縮小されている中、ご高齢者の方たちのための催しなども今年はなくなったのではと思われます。
ご高齢者の方たちに接することとなるとやはり慎重にならざるをえませんね。しかしご高齢者は今、誰よりも寂しく過ごしていらっしゃるのではないでしょうか?
毎年、統計局から発表される日本の高齢者人口ですが、最新の発表によると全人口の28.7%が65歳以上の高齢者という割合だそうです。
高齢となるにしたがって発症リスクが高まると言われているのが認知症です。
日本の認知症患者割合は、世界と比べてどれくらい高いと思いますか?
我が日本は人口における認知症有病率が2.33%で、OECD加盟国35か国のうちで一番高いそうです。
2位にイタリア、3位がドイツなのですが、OECDの平均である1.48%に比べるとその差は歴然。ダントツ1位です。
超高齢化社会で平均寿命が伸び、長生きするにしたがって認知症を発症する人の数が増えているという認識はやはり正しいようです。
今回は認知症患者が今後ますます増加していく昨今、共有名義不動産の共有者の方が認知症になった場合の対策について考えていきたいと思います。
-共有名義不動産の共有者の中に認知症の方がいる場合、どういった問題がおきるのか?
-成年後見制度を活用し認知症の共有者問題を解決する
-成年後見制度の利用方法について
共有名義不動産の共有者の中に認知症を患っている人がいると、その不動産を売却することはできなくなります。
それはなぜでしょうか?
認知症の度合いにもよりますが、一定以上に症状が重くなると意思能力を有しませんので、一切の法律行為ができなくなります。
法律行為という言い方をすると、高額財産の売買だけを連想しがちですが、広い意味で解釈すると、日常の買い物も契約、法律行為の一種になります。
法律行為ができないということは、売買や変更行為をする前提となる契約ができないということになります。
共有不動産の共有者の一人が認知症になったとしても日常生活でほかの共有者が困るような問題はないのですが不動産を売却したり、建て替えるといったような大きな変更を加える場合に問題が生じます。建物をリフォームする場合にも該当します。
共有者の中に認知症の方がいる場合、法律行為ができないといった事例が多く寄せられています。
実際に症状が発生してからでは遅いので共有者の中に高齢者がいる、もしくは認知症の兆候が見られる方がいる場合には事前の対策が必要になってきます。
例をあげると、父親が亡くなった時の相続で高齢の母親とその子供たちが自宅不動産を共有で持ち合うケースです。
父親から相続した不動産も遺産分割協議がまとまらず、相続分に応じた持分割合で共同所有をしているのですが、母親が高齢で認知症のため母親の持ち分を売却したいと思っても手続きをできず、どうすればよいのかわからないと悩んでいる方も増えてきています。
認知症になった母親を老人ホームへ入居させる費用捻出のため共有不動産を売却したいと思っていても認知症で意思能力がないと売却することができなくなってしまいます。
こうなると認知症の方の財産は、事実上凍結されてしまうので対策が必要になりますね。認知症の方がどこまでの判断能力を残しているかにもよりますが、家庭裁判所によって選任された人が、必要な範囲で本人の手助けをする「成年後見」という制度があります。
成年後見制度とは認知症や障害などのさまざまな理由で判断能力が不十分な人を、法律的に支援・保護するという制度です。
代理人を選び、預貯金の引き出しや遺産分割協議、不動産の売買などで、認知症の人の権利が侵害されないように、法律的に守ります。
本人が認知症などの委任の意思を示すことが不可能な場合にはその人名義の不動産を売却する成年後見人を立てるしか方法がないということになります。
―2つの「成年後見制度」について
成年後見制度といっても、本人の意思決定能力や判断力の度合いによって「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つに大きく分かれます。
・任意後見制度
任意後見制度は、本人に意思決定能力や判断力があるうちに、自分自身で後見人を選んでおく制度です。
具体的には、後見人になってほしい人とどの業務を委任するかを決めた「任意後見契約」を結びます。
本人の意思決定能力や判断力が低下したら、任意後見契約を結んだ代理人が、契約にある業務を代行します。
・法定後見制度
本人の意思決定能力や判断力が低下してから代理人を選ぶのが、法定後見制度です。
制度名に「法定」とあるように、後見人を立てる段階から家庭裁判所が全面的に関与し法律上で定められた一定の後見人を選任します。
成年後見制度利用の手順、手続きについて「任意後見制度」と「法定後見制度」でそれぞれ異なります。
―任意後見制度
任意後見制度では、あらかじめ後見人と委託する業務の内容を決めます。後見人と委託する業務の内容が決まったら、任意後見契約を結びます。
任意後見制度の利用を開始するために、家庭裁判所への申し立てを行います。後見人の選任については家庭裁判所の審判が必要なため、その申込みを行います。
家庭裁判所への申し立てから2~4カ月程度で申し立てに対する審判が下ります。審判が下って初めて、後見人による後見業務が開始されます。
―法定後見制度
法定後見制度は、家庭裁判所への申し立てから行います。
成年後見人にしたい人を決め、家庭裁判所への申し立てを行います。
法定後見制度は、任意後見制度のように、あらかじめ本人(親)が、後見人を決めていません。そこで家庭裁判所は本人や申立人、後見人の候補者を呼び、事情を伺ったり意見を求めたりします。
家庭裁判所による申し立てに対する審判が下ります。申立書に記載した人物(場合によっては、家庭裁判所が選んだ弁護士等の専門家)が後見人に選任されます。
2週間以内であれば、不服申立てをすることができます。
以上のように共有不動産の共有者に高齢者や認知症の疑いがある場合の対処をご紹介させていただきましたが、コロナ禍の中でご高齢の方と直接ご相談できない状況にある昨今、専門家に詳しくお尋ねすることをお勧めします。
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