新型コロナウイルスにより、今年は本当に激動の1年になりました。いまだ収束の兆しが見えずいつもとは違う年末年始を迎えるにあたって色々と不安も増しますね。やはりこんな時代だからこそ自分の身の回りのことはきちっと自分で処理しておきたいものですね。
今回は、知っているようで意外と知らないことだらけ(?)な共有名義不動産の固定資産税についていくつか述べていきたいと思います。
―共有名義不動産の固定資産税は誰が支払うのか?
―共有名義不動産の固定資産の負担割合はどのように決めるのか?
―固定資産税を滞納した場合どうなるのか?
―共有名義不動産の固定資産税の支払いでよくあるトラブルについて
両親の他界によって相続された不動産など、ほとんどのケースが複数の相続人からなる共有名義不動産となります。この共有名義不動産にも固定資産税は発生します。
では共有名義不動産の固定資産税は、いったい誰がいくら支払うのか?
①共有名義不動産の固定資産税の租税債務、すなわち納税義務は共有者全員の連帯債務であり、共有者全員が連帯して納付する「連帯納税義務」となります(地方税法第10条の2第1項)
一言で、共有者全員が持分に応じて支払うということですね。
共有名義不動産の固定資産税は共有者全員で負担しなければならないと地方税法で定められています。なので、自治体は共有持分権者のうち誰に請求しても構いません。請求された共有持分権者は自分の持分に対応する金額だけでなく全額を払わなければなりません。
②固定資産税の支払いは代表者が行う
原則共有資産の納税通知書は、共有者の中から代表の方を決定し、代表者の方に送付されます。
共有名義不動産の固定資産税は各自で支払いはできません。
共有名義不動産の共有者の中から代表者1名を決めて、その代表者が納税することになります。
不動産を共有すると、市区町村から「固定資産税の代表者をお知らせください。」という通知が届きます。
代表者を指定する届出書を「代表者指定届」といいます。
不動産を共有することになったら、相続人たちが話し合って代表者を決め「相続人代表者指定届」を自治体へ出します。
市区町村は手間やトラブルを避けるため、自治体の方で代表者は指名せず、共有者の話し合いで代表者を決めさせて、固定資産税についての話し合いは原則としてその代表のみを対象として事務処理しています。
③代表者の役割
代表者指定届が提出されると、自治体から代表者に固定資産税の納付通達書や納付書が送られてきます。
代表者は固定資産税の納付書を受け取ると、いったん全額を立て替えて払わなくてはいけません。
そこで持分の割合に応じて他の共有者へ返還請求しそれぞれ負担分の固定資産税を徴収します。
共有者全員が共有している建物に同居していれば楽なのですが、遠方に住んでいたり、振り込み手数料を差し引いて振り込んだり、うっかり忘れたり、回収するには煩わしことがたくさんあるみたいです。
共有持分権者が自分の分を払わなかったら、代表者は裁判などの法的手段によって強制的に払わせることが可能です。
しかし不動産を共有しているのは多くの場合、家族や親戚なので強硬な態度も取りにくいですね。
代表者は後から変更もできます。
「納税代表者変更届」という書類を役所に提出すれば変更できます。
共有名義不動産の固定資産税が法律的には共有者全員が負担するものだということになりますが、それでは共有者の心理的な側面はどうでしょう?
例えば両親が他界し、一軒家の実家を兄弟3人で1/3ずつ相続しました。共有名義不動産になります。しかし実家には長男が住み、後の兄弟2人は名義こそ共有名義ですが、何らかの対価として金銭の授受は一切ありません。
それなのに固定資産税の請求が長男から来るとなるとやはり不公平感が拭えませんよね。
「住んでいない私たちがなぜ?」と思うのが当然の気持ちです。
この場合、長男以外の共有者は持分を所有していることの対価を受けていませんので「賃貸相当損害金」を逆に長男に請求できることになります。
このようなケースの場合に限っては、実際に住んでいる人が固定資産税などの税金を負担するのが合理的ではないのでしょうか。
代表者が固定資産税を滞納し督促しても支払わない場合、市区町村は不動産を共有している方全てに固定資産税を請求します。
不動産を共有している方であればどなたでも請求された全額を支払う義務があります。
固定資産税を滞納してしまった場合、納期の翌日から1か月間は年利2.9%、それ以降は年利9.2%の延滞金、つまり金利を支払わなければいけません。
1年で1割近くの金利を支払わなければいけませんし、仮に破産してしまっても免責されませんから、なんとしても支払う必要があります。
不動産を共有している場合、複数の納税義務者がいますから長期間滞納することは考えにくいと思われるかもしれませんが、誰かが支払うだろうとお互いに考え、かえって滞納が長期に渡ってしまうことも多いのです。
①共有者が負担分の支払いを拒否、無視する
共有者は持分に応じて固定資産税を払わなければなりません。しかし現実には支払いに応じない共有持分権者も大勢います。
代表者が支払いを求めても無視されるケースも少なくありません。又、代表者が立て替えをして、共有者に請求をしようとしたら行方不明になっていたり、連絡先が分からなくなったりするケースもあります。
自分の持ち分を払ってくれない共有者がいると大きなトラブルになってしまします。
②共有名義人が死亡した場合
共有名義人が死亡した場合には、原則として共有名義人が負担すべき固定資産税は共有名義人の相続人が支払うこととなります。つまり、借金を残して亡くなったのと同様です。
しかし、遺産分割の協議が整うまでは、亡くなった方の銀行預金を下ろすことができなくなってしまう場合があります。
固定資産税の負担分が立替払いできないほど多額の場合には、大変困った状況に陥ります
③知らないうちに突然代表者になってしまった
ある年から、突然年間に巨額の固定資産税を支払わなければならなくなるトラブルがあります。
市町村の判断で代表者に選出されたり、また、昨年まで代表者だった人が勝手に「代表者変更申請」を出してしまい、申請を出された人は何も知らないまま翌年から突然納税通知書が届いたということもあります。
また、民法第434条の規定により、連帯納税義務者の一人に対する納税の告知は、他の連帯納税義務者にも告知したことになります!!
以上のように共有名義不動産の固定資産税については知っているようで実は意外と知らないことが多いように思います。
このように共有名義不動産は固定資産税をはじめ、税金の問題もしっかり把握しておきたいものです。自分にいつ降りかかってもおかしくない問題と捉えて、ぜひ専門家へ一度ご相談されることをお勧めします。
おすすめ不動産会社ランキング
株式会社中央プロパティー
95/100点
社長が専門家としてTVや雑誌で多数紹介。独自の入札方式で高値売却を実現。不動産鑑定士による調査報告書有り。
株式会社大正ハウジング
55/100点
1995年設立の社歴のある買取専門会社。センチュリー21の加盟店。東京都内の交通広告でおなじみ。
一般社団法人 不動産あんしん相談室
50/100点
代表者が女性で相談しやすい雰囲気。一般社団法人。大阪エリアに強い。
株式会社蒼悠(港コンサルティング)
50/100点
関西エリアに強い大阪の不動産会社。年間の相談実績が200件超。無料の訪問査定有り(机上査定も対応可)。
株式会社チェスター
40/100点
相続税専門の税理士法人グループ会社。東京、横浜、大阪に支店あり