ここ最近、日本で社会的問題になっているのが「空き家」の増加です。
深刻化する「空き家」、特に相続に関わる問題として以下のポイントでまとめてみます。
① 「空き家問題」とは何か?
② 「空き家」を相続することになった場合にふりかかってくる諸問題
③ 「空き家」相続のトラブル解決策
④ 「空き家」だからと放置される共有名義の問題
国土交通省では「空き家」を1年以上住んでいない、または使われていない家と定義しています。
具体的な「空き家」の判断としては、
・建築物の用途
・人の出入りの有無
・電気、ガス、水道の使用状況ないしそれらが使用可能な状態にあるか
・物件の登記記録や所有者の住民票の内容
・物件が適切に管理されているか
・所有者の利用実績などによって空き家かどうかを判断します。
さらに空き家のうち、
・そのまま放置すれば倒壊等の危険性があるもの
・衛生上有害となりうるもの
・景観を損なっているもの
・放置することが不適切である状態のものは「特定空き家」に該当します。
総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、平成30年(2018年)の空き家数は全国で846万戸と過去最高を記録しました。
平成25年(2013年)から比べて26万戸(3.2%)の増加になっていますし、これが2033年頃には2,150万戸、全住宅の3戸に1戸が空き家になってしまうという予測が出ています。
年々増え続けている空き家ですが、田舎だけではなく最近は都心部でも頻繁に見かけるようになりました。
ではなぜ、空き家は増えているのでしょうか?
それは少子高齢化と人口の減少です。
高齢になった方が老人ホームなどの介護施設や高齢者住宅に移り住み、これによってそれまで暮らしていた家が空き家として残ってしまいます。
また人口の減少によって、住宅の数が世帯数を上回って伸び、空き家が増えていくことになります。
ここで問題なのは、すでに高齢の親が老人ホームなどに移り住み実家が空き家になった状態で親が他界してしまい、結果、子供が空き家を相続することになるということです。
-空き家の管理の問題
空き家を相続した子供たちもすでに持ち家があったり、離れて暮らしていることが多く、相続した空き家を使うことは少ないのです。そうすると空き家の管理がほぼ皆無となり特に建物については老朽化による周囲への影響がでてきます。
人が住まない家はとりわけ痛みが早く、崩壊など他人に怪我をさせたり他人の財物を損壊したりするリスクが付きまといます。
-空き家にかかる費用の問題
空き家を維持するための定期的なクリーニング屋、草刈りなどの費用がかかると考えておいた方がいいでしょう。
また、空き家を相続すると、それに対し固定資産税の支払い義務が生じます。また都市計画法で市街化区域と定められた地域であれば、固定資産税のほかに都市計画税も支払う必要があります。
毎年1月1日の時点で土地や建物を所有していた方に請求される固定資産税と都市計画税は重い負担となります。
固定資産税は、更地ではなく土地に住宅が建っていると1/6に優遇されます。しかし2015年から施行された「空き家対策特別措置法」によって上記に記載した「特定空き家」と判断されるとこの優遇措置が適用されず、固定資産税が6倍になるといわれています。
もし相続した空き家を売ろうとしてもある程度のリフォームをしなければならず、費用がかかってしまいます。
家余りの時代、立地がいい物件でなければ貸すのも売るのも大変です。更地にして売ろうとすれば解体し更地になったとたん固定資産税が6倍に跳ね上がります。
このように住んでなくても維持管理費や税金の負担がのしかかってきます。-空き家を処分する方法
一般的な木造一戸建ての空き家の処分を仮定すると
・建物解体費用(100~150万円)
・測量費用(30~50万円)
・建物残置物撤去(10~50万円)
・仲介手数料(不動産会社)
・相続登記費用(司法書士)などが発生します。
これだけの経費がかかると、もし仮に空き家の買い手を見つけることができて処分したとしても、赤字になってしまうことも十分ありえます。
たとえ赤字になったとしても一生涯空き家を持ち続け、自分の子供たちの代まで迷惑をかけることを考えると空き家を処分するというのも選択肢のひとつです。
-空き家の相続放棄をする方法
空き家を売りたくても立地が悪く、リフォームもしなければならないので売れない、または空き家で建物の状態もよく立地的にも条件の良い不動産価値があるにも関わらず、相続人同士の意見がまとまらず売却できないなどの場合、相続自体を放棄する方法があります。
相続放棄をするとその時点から固定資産税の支払義務がなくなるという金銭的な負担から逃れることができます。
しかし相続放棄した後でも相続財産を相続する者が居なくなった場合、管理義務は残るという落とし穴がありますので注意が必要です
空き家のメンテナンスはきっちり行って、決して「放置空き家」にしておいてはいけないということです。
-「相続登記」しないという問題
親が他界し、相続が発生します。
土地の所有者が死亡した後も長期間にわたり、相続による所有権の移転の登記など「相続登記」がされず所有者の所在の把握が困難となり、公共事業に伴う用地取得等に支障を来すなどのいわゆる所有者不明土地問題が顕在化しており、社会的な関心を集めています。
ではなぜ相続登記をしないのか?
相続登記をしない理由は、法的な義務はなく、相続税の申告と違って申請期限もないからです。
つまり、不動産における相続登記は義務化されておりませんので、法定相続人に直接固定資産税などの催促がなく、結果空き家としてそのまま放置されてしまうのです。
-複数の「法的相続人」という問題
相続人は単独ではなく複数人の場合がほとんどです。
遺言があれば遺言のとおりに、遺言がなければ相続人らで話し合いをして遺産を分けます。しかし、法律上は、被相続人が亡くなった時点で遺産は相続人全員の共有となります。
たとえば両親が他界し兄弟3人が相続人の場合、すでに3人とも自分の持ち家があり、実家に戻る予定がないとします。
なにかと意見が分かれる相続の問題、自分たちが直接住む予定もない実家については結局後回しになり、共有名義不動産として放置してしまい空き家となってしまいます。
-共有名義不動産の価値問題
上記のように一旦は共有名義不動産として相続したとして、不動産価値が高いのであれば
兄弟で合意の上売却するなり一定の行動をとると考えられます。
しかし不動産は本来、使用収益を生む資産ではありますが、20年以上経てば家は価値がなくなり、結果、共有名義不動産のまま放置されてしまいます。
以上のようなことも相続人が存命の間は大きな問題が起こらないとしても、子や孫の世代になると面識のない相続人も現れ、手続きはより困難になります。相続人の子や孫の世代まで共有名義の状態を続けると、一つの財産を十数人で共有することもあります。また、意見の異なる相続人どうしで一つの財産を共有することはトラブルを招きやすいものです。
このように様々な問題が混在する共有名義不動産としての「空き家問題」をしっかり認識した上で詳しいことなど、専門家に相談することをお勧めいたします。
いずれにせよ、不動産相続において「空き家問題」は決して他人事ではありません。
いつ自分に降りかかってきてもおかしくないという気持ちで、詳しいことは専門家に相談することをお勧めします。
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