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共有持分の売却時に必要な登記事項証明書とは?

「登記事項証明書ってなに?」
「どのような見方なの?」
「登記事項証明書が必要なタイミングは?」

共有持分を売却する際は登記事項証明書が必要となりますが、聞きなれない言葉からどのような書類であるかわからない方もいらっしゃるでしょう。この記事では登記事項証明書の概要と見方、書類が必要となるタイミングについて紹介します。

■1.登記事項証明書とは

登記事項証明書とは法律で登記をすることが定められている事項の全部もしくは一部を証明する書類のことです。不動産においては所有権に関する権利が明記されており、「所有物件の概要」「不動産の所有者」「所有者の住所」「所有した年月日」などが記載されています。また共有持分の場合、所有割合が以下の画像のように記載されています。

登記事項証明書があれば、不動産に関する情報を確認することができ、第三者に所有権を主張することができます。そのため共有持分を売却する際、売主側に所有者であることを証明する書類として必要です。

1-1 登記簿謄本との違い

登記簿謄本は、所有者についての情報が記載されている公的な書類のことで、正式には「登記事項証明書」といわれています。2008年以降、登記内容はすべて磁気ディスクに記録され、データで処理でき、登記事項証明書と呼ばれるようになりました。しかし双方の登記内容は同じです。登記事項証明書となった現在では、どの法務局でも取得できるようになっています。

1-2 登記事項証明書の種類

登記事項証明書の種類には、以下のようなものがあります。

  • 全部事項証明書・・・今までの登記内容が記載されたもの。過去から現在までの登記内容をすべて確認することができます。
  • 現在事項証明書・・・現在、効力がある登記事項だけが記載されているもの。
  • 一部事項証明書・・・甲区や乙区の順位番号で指定した箇所だけ記載されているもの。マンションなど共有者が何十人もいる場合に用いられます。
  • 閉鎖事項証明書・・・閉鎖された登記記録が記載されているもの。分筆前や合筆前の情報などを確認したい場合に用いられます。
  • 登記事項要約書・・・現在有効な登記事項を簡潔にまとめた書類のことです。

1-3 登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書は以下の3つの方法で取得することができます。

  1. 法務局窓口・・・最寄りの法務局で申請して取得する方法。
  2. オンライン・・・法務局のホームページにあるオンライン申請のご案内から申請する方法。初回登録が必要となり、支払いはオンライン決済のみです。
  3. 郵送・・・法務局のホームページにある各種証明書請求手続から取得する方法。

■2. 共有持分がある登記事項証明書の見方

登記事項証明書では「表題部」と「権利部」が記載されています。表題部には対象の不動産の状況が記載されており、権利部には不動産を所有されている方の権利状況などが明記されています。その点を踏まえて、建物と土地、マンションの登記事項証明書の見方を紹介します。

2-1 建物の場合

建物の場合、表題部に「建物の所在地」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「登記された事由」が記載されています。この建物は「いつできて、どれくらいの大きさで構造は何か」を確認することができます。

2-2 土地の場合

土地の表題部には「所在地と地番」「地目」「地積」「登記された事由」が記載されています。この土地が「どこにあり、どれくらいの広さ」であるかを確認することが可能です。また権利部には「土地や建物を所有している方の名前と所在地」「持分割合」「過去から現在に至るまでの所有者の流れ」を把握できます。先程の例(以下の画像)を挙げると、当初の所有者は国税太郎と国税二朗が相続によって共有持分を1/2ずつ取得したことがわかります。

しかし順位番号2を見てもらうと、国税太郎から亡くなり、相続によって国税二郎に持分が全部移転しています。よって国税二郎の単独名義の不動産であるということです。

2-3 マンションの場合

マンションの登記事項証明書では「部屋番号」「構造」「床面積」「建築された時期」「所有者名と所在地」「持分割合」が記載されています。

マンションの土地の場合、所有者が何十人もいることから、持分(敷地権)割合が「200/5200」「280/4080」などきれいな数値ではありません。

一方建物に関しては部屋番号ごとに所有権が分かれているため、持分はマンションを購入した(または相続や贈与を受けた)人ごとに分かれています。

■3. 登記事項証明書が必要なケース

登記事項証明書は不動産に関する手続きを行う際に必要です。実際に必要となる3つのタイミングを紹介します。

3-1金融機関から借入する場合

金融機関から不動産を担保として借入する際、登記事項証明書が必要となります。金融機関は登記事項証明書に記載されている土地の面積や地目、所有者などで以下の項目を確認します。

  • 融資の申込者と不動産の所有者が同じであるか
  • 担保となる不動産の評価額が借入額に対して不足していないか
  • 不動産に抵当権が設定されていないか

住宅ローンや事業用ローンなどを借入する場合は、担保となる不動産の所有者と申込者が異なる場合は原則融資はできない(親子などは除く)ため、登記事項証明書と身分証明書で確認します。また担保となる不動産の評価額が借入額に足りているかも計算しなければいけません。担保が不足していると万が一債務者が返済を滞らせてしまった場合、差し押さえして売却しても債権を回収できない可能性もあることから、登記事項証明書で面積や建物の規模を確認します。さらに現在不動産に抵当権が設定されているかもチェックするために用いられます。金融機関としては他の金融機関の抵当権が設定されていると、差し押さえできる権利が低くなるため、融資しないケースが一般的です。上記のような事項を金融機関は登記事項証明書で確認してから融資の可否を決めるため、借入する際に必要となります。

3-2不動産を売却する場合

不動産を売却する場合、売買契約書に署名捺印する売主と不動産を所有している者が同じであるかを売主へ証明するために登記事項証明書が必要です。また所有者の他に、売買契約書に明記されている不動産の所在や面積、築年数なども登記事項証明書で確認します。

よく間違われる点としては、不動産の所有者が親で、子どもが売買契約書に代筆でサインするなどの行為は認められておりません。認知症などの親や、契約内容を知らずに子どもが契約する場合、法令違反になり契約は無効となるため注意が必要です。そのような点を確認するうえでも、不動産の売却時には登記事項証明書が必要となります。

3-3住宅ローン控除の申請を行う場合

住宅ローン控除を受けるためにも、登記事項証明書が必要というケースがあります。住宅ローン控除とは住宅ローンの借入額に0.7%を掛けた値を借入から13年間(中古住宅の場合は10年)債務者の所得税から差し引くことができる制度です。

本制度は確定申告で手続きしますが、登記事項証明書も提出しなければいけませんが、住宅借入金等特別控除額の計算明細書に不動産番号を記載すれば提出を省くこともできます。

■まとめ

登記事項証明書は不動産の状況や権利関係を確認できる書類です。第三者に所有権を証明できるため、不動産の売却や借入する際に必須となります。

登記事項証明書は法務局やオンラインで取得することができますが、売却時には共有持分を専門に扱う不動産会社へ取得してもらうこともできます。

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