共有持分の売却でよくあるトラブル事例と回避方法を紹介!売却時に注意する3つのポイント
「共有持分の売却時にあるトラブルとは?」
「トラブルを回避する方法は?」
「売却時に注意する点はなに?」
共有持分の売却はさまざまなトラブルに発展する可能性も高いことから、事前にどのようなトラブル事例があるのか把握しておくことが大切です。
この記事ではトラブル事例と回避方法、売却時の注意点を3点紹介します。
■1.共有持分の売却でよくあるトラブル事例
共有持分の売却でよくあるトラブルはさまざま挙げられますが、ここでは代表的な事例を3つ紹介します。
1-1 売却に反対する共有者がいる
前提として、共有持分は、他の共有者の同意なく売却できます。(民法206条)
しかし、共有持分の売却時、他の共有者から反対されトラブルになることがあります。勝手に売却すると、後々トラブルになる可能性も高いことから、事前に共有者に伝えたら怒って反対されたという事例も多くあります。
他の共有者からすれば「知らない人と共有関係になる」「親から受け継いだ不動産を第三者に渡すことになる」など、第三者へ持分を売却することに不安や不満があるでしょう。
先述の通り、法的には共有持分の売却は可能ですが、共有者との関係悪化を懸念して、売却したくても売却できないという方も多くいらっしゃいます。
1-2 知らぬ間に共有者が持分を売却していた
1-1で紹介したケースとは、逆の立場で、知らぬ間に、第三者と共有状態になっていたという事例もあります。
共有者のうち誰かが、内緒で第三者に持分を売却してしまっていた事例です。
もちろん、法的には自己持分の売却は何ら問題ありませんが、第三者と共有名義になると、共有不動産に住んでいない共有者から家賃を請求される可能性や持分の売却を要求してくる場合があります。
ここで言う第三者は、一般的には共有持分の買取業者であることが多いです。買取業者が持分を取得する理由は、家賃収入や売却利益などの収益目的であるため、共有者は不動産を失うリスクも高まります。
1-3 他共有者と連絡が取れなくなった
共有持分の売却は、単独の意思で可能ですが、不動産全体の売却には共有者全員の同意が必要になります。
不動産全体の売却を検討するタイミングで、他の共有者と連絡が取れず、手続きが進められないというトラブルも生じることがあります。
連絡が取れないことを理由に、共有者の同意なしで不動産全体を売却してしまうと、損害賠償を請求されることになります。
しかし、共有者の所在や連絡先がわからないと、不動産全体を売却することができず、そのまま持分を保有し続けることになるリスクも伴います。
■2. 共有持分のトラブル回避方法
共有不動産はさまざまな問題に直面することから、ここでは共有持分のトラブル回避方法を3つ紹介します。
2-1 早い段階で共有状態を解消する
共有状態を解消する方法は、大きく4つあります。
- 1.共有持分を売却する
- 2.持分を放棄する
- 3.分筆して単独名義にする
- 4.共有者間で持分を売買し単独名義にする
1と2については、単独の意思で行うことができます。但し、持分の放棄は、金銭的な対価が得られないため、勿体ないケースもあります。
持分の放棄については、共有持分を専門に扱う不動産へ相談するなどして、慎重に検討しましょう。
3と4については、他の共有者と合意が取れている場合に限られます。
共有名義にしていると、活用方法に反対している共有者が1人でもいると制限がかかってしまいます。しかし単独名義にすれば、他の共有者が不動産に対してなにもできなくなるため、自由に活用でき未然にトラブルを回避できます。
2-2 他の共有者と活用方法を決めておく
他の共有者と共有不動産の活用方法を決めておくのも一つの方法です。事前に決めておけば、トラブルになる可能性も低くなります。
不動産は「貸すか・建てるか・売るか」の3つしか活用方法がありません。月極駐車場や賃貸アパートなどとして貸し出すか、自己の居住用として建てるか、売却して現金にするかを共有者同士で話し合って決めておけば全員の意思疎通ができ、トラブルを未然に防ぐことができます。
2-3 共有持分専門の不動産会社へ相談する
共有持分専門の不動産会社へ相談しておけば、共有者間の間に入って活用方法の提案などをしてくれたり、共有状態の解消をサポートしてもらうことができます。
共有持分の不動産は権利関係が複雑なうえ、共有者の意思が1人でも異なれば活用方法に制限がかかります。さらに専門的な知識や法律が関係してくる部分も多いため、勝手に解釈すると大きな問題になる可能性も高いです。
しかし共有持分を専門に扱う不動産会社へ相談しておけば、トラブルを未然に防ぐことにもなり、共有者同士の意見をまとめてくれます。
■3. 共有持分を売却する際の3つの注意点
共有持分を売却する際は以下の3つの点に注意しましょう。
3-1 共有者に伝えておかないとトラブルになることも
共有持分は共有者から同意を得ずに売却すると後々トラブルになる可能性も高いため、売却前に伝えておくことが大切です。
もちろん売却前に伝えても反対する共有者がいるかもしれません。しかし伝えないまま売却すると、“親族ゆえの感情”が芽生え、不毛な争いに発展することになります。
実際に伝えないまま売却し、後々共有者から嫌がらせを受けるという事例もあります。決して親族間であっても、関係が悪化しないという保障はなく、今後の親族関係にも支障をきたす場合もあります。
そのため、持分のみを売却すると決めた以上、共有者たちに事前に伝えておくことが得策と言えます。
3-2 売却価格は双方の合意額となる
共有持分の売却価格の算出方法はありますが、最終的には買主と売主の双方の合意額となります。
共有者に売却する場合は以下の計算式で算出します。
共有持分の売却価格=共有不動産の市場価格×持分割合 |
市場価格は国土交通省の地価公示・地価調査・取引価格情報 にある、「不動産取引価格」で確認することができます。例えば市場価格が2,000万円で、持分が1/2の場合、1,000万円の販売価格になるということです。
一方、投資家や買取業者に売却する場合、共有者に売却する価格の3割〜6割程度になるとされています。
もちろん上記の計算式での算出は目安価格であり、実際は双方が同意する金額でなければいけません。共有者間で売買する場合、金額や条件でスムーズに取引を進めるために、次の項で紹介する方法を参考にしましょう。
3-3 共有持分の専門業者に相談する
共有持分の売却は、共有持分を専門に扱う不動産会社へ相談することをおすすめします。
共有持分の売却は、トラブルになりやすい性質上、法律的な専門知識が必要です。
共有持分の専門業者は、弁護士と連携のうえ法的根拠を持って、売却手続きを進めてくれます。
また、共有持分の売却後に共有者とトラブルになるケースも珍しくないため、売却後のアフターフォローも行ってくれる業者がおすすめです。
■まとめ
共有持分の売却トラブルは、共有者から売却に反対されるケースや、知らぬ間に第三者へ売却されている例が挙げられます。
未然にトラブルを回避するためには、早い段階で共有状態を解消するか、共有者同士で活用方法を決めておくなどが大切です。
共有持分の売却は、慎重に検討する必要があるため、共有持分の専門業者に相談をするのが一番のトラブル回避につながります。
また、共有持分の専門業者に依頼する際は必ず、弁護士による売却後のアフターフォローが担保されている業者を選びましょう。