共有名義不動産は離婚したらどうなる?トラブル対処法と共有持分の売却方法を紹介
「離婚したら共有名義不動産はどうなるのだろう」
「離婚後に共有名義不動産でトラブルにならないためには?」
「共有名義不動産はどうやって売却するの?」
夫婦で購入した不動産は、離婚した場合どのようになるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。また離婚した後に共有名義不動産でトラブルにならないためには、事前に対処方法を理解する必要があります。
この記事では離婚後の共有名義不動産にフォーカスをあて、トラブル対処法、売却方法を紹介します。
■1.離婚後の共有名義不動産はどうなる?
離婚した後の共有名義不動産は以下の3つのケースに該当することが多いです。
1-1 離婚後も共有関係が続くケース
離婚した後、共有関係を解消しない限りは、固定資産税の負担や不動産活用の制限はそのまま継続します。
共有不動産の固定資産税は、名義人の代表者1名に納付書が届きます。しかし持分割合に応じた固定資産税を負担しなければいけないため、代表者の方は共有者から納税額分の金銭を受け取らなければいけません。そのため離婚後であっても連絡を取り合う必要性が生じます。
また、不動産の売却や建て替えを行う場合、共有者の同意が必要となるため、活用する際はわざわざ共有者から同意を得られなければいけず、場合によっては意見が合わず活用できないリスクも伴います。
1-2 どちらか一方の単独名義に変更するケース
どちらかに持分を売却し、単独名義にすることで不動産の活用を自由に行うことができます。
一般的には対象の不動産に「住み続ける方」が買取ることが多いです。一見、シンプルで合理的な方法に思えますが、実際には持分の売買価格で折り合いがつかないケースが多いです。
1-3 裁判でトラブルになるケース
共有名義不動産の扱いで裁判まで発展するケースもあります。婚姻関係の解消と同時に、通常は離婚後2年以内に当事者間で財産分与を行います。(民法768条)
財産分与は原則1/2ずつとされておりますが、双方の協議が決まらない場合は家庭裁判所に財産分与請求調停事件の申立てを行って決めることがあります。
■2. 離婚後にトラブルにならないための対処方法
共有名義不動産は離婚後にトラブルに発展する可能性も高いため、以下の2つの対処方法を行いましょう。
2-1 どちらかに持分を集約しておく
共有持分をどちらかに集約しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
この方法は、どちらかが共有不動産に住み続けることになった場合、有効な方法です。
本来、離婚した場合は財産分与を行いますが、事前にどちらかが相手側の持分を購入し、単独所有の不動産にしておけば、離婚後に連絡を取り合う必要もなく、税金や不動産活用をめぐってトラブルになる可能性も低くなります。
ただし、売却する際は譲渡所得税が課せられる可能性もあるため注意しなければいけません。譲渡所得税とは不動産などを売却した時の利益に課せられる税金であり、以下の計算式で算出できます。
課税対象額=売却代金-(取得費+売却に係わる費用)-特別控除譲渡所得税=課税対象額×税率 |
譲渡所得税は取得費や売却に関わる費用などを差し引いて課税対象額が0円以下になれば課税されません。しかし課税されるとなると、所有していた年数が5年未満の場合、「39%」5年以上の場合は「20%」の税率を掛けた金額を納税しなければいけません。
そのためどちらかに持分を集約する際は、事前に税理士や共有持分を専門に扱う不動産会社へ税金計算などを依頼しておきましょう。
2-2 離婚後、二人で不動産を売却する
離婚後、どちらも対象の不動産に住まない場合は、不動産全体を売却してしまうのが良いでしょう。
二人で不動産の売却を行い、それぞれ持分割合に応じた金銭を受け取るのも一つの方法です。共有名義の不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できません。
しかし夫婦で売却に同意しているのであれば、売ってしまい現金にした方が良いでしょう。
また売却代金は、それぞれ持分割合に応じて受け取ります。例えば3,000万円で売却できた場合、夫の持分が2/3であれば2,000万円、妻が1/2であれば1,000万円受け取れます。
夫婦の名義だから半分ずつと捉える方もいらっしゃいますが、財産分与後は原則持分割合に応じて計算するため、売却前に誤解が無いよう確認しておきましょう。
■3. 共有名義不動産・共有持分の売却方法
共有名義不動産・共有持分の売却方法を紹介します。
3-1 夫婦同意のもとで共有名義不動産全体を売却する
共有名義の不動産全体を第三者に売却する方法です。不動産会社に売却査定を依頼し、購入希望者を見つけてもらい、売却します。
ただし、住宅ローンなどの残債が残っている場合、完済しなければいけません。完済のタイミングは売却前、もしくは売却代金を受け取ったと同時の2つの方法が挙げられます。
住宅ローンなどの借入を行って購入または建築した不動産の場合、金融機関の抵当権が不動産に設定されています。原則、抵当権は不動産に一つしか設定されないため、完済して抵当権を抹消しなければ次の購入者が不動産を担保として借入できなくなります。
そのため夫婦で共有名義の不動産を売却する場合、売却代金でローンを完済できるかを計算しなければいけません。
また売却時には譲渡所得税などを支払う可能性もあるため、事前に共有名義を専門に扱う不動産会社へ計算してもらいましょう。
3-2 自己持分を相手共有者に売却する
自己持分を相手共有者に売却することで、単独名義の不動産になります。持分の売却は、共有持分を専門に扱う不動産会社へ相談します。
その後売却価格の査定を依頼しますが、一般的には以下の計算式で算出します。
共有持分の売却価格=共有不動産の市場価格×持分割合 |
市場価格は実際に所有している不動産の周辺で取引された価格となり、不動産会社が査定してくれます。その後持分割合をかけた金額が売却価格の目安となります。
しかし注意しなければいけない点は「売却価格は双方の合意額」となることです。「売り手側としては高い金額で売却したい」、「買い手側は安く購入したい」と考えます。
そのため市場価格をベースに売却価格を算出しても、相手側が納得しなければ売却に進まないということです。その点の折り合いをつけるためにも、共有持分を専門に扱う不動産会社へ交渉依頼するようにしましょう。
3-3 離婚後に自己持分を第三者に売却する
離婚成立後であれば、自己持分を第三者に売却することができます。
ただし、共有者に売却する価格より3割〜6割程度安くなる傾向にあります。共有持分だけ購入しても、不動産の活用には共有者の同意が必要になるためです。
共有持分を1円でも高く売却したい場合は、共有持分を専門に取り扱う不動産仲介業者に依頼するのがおすすめです。
■まとめ
離婚後の共有名義の不動産は、名義を解消しないとそのままお互いが所有することになり、ことから、どちらかに持分を集約させるか、売却してしまう方法が望ましいです。
財産分与でトラブルにならないためにも、事前に共有持分を専門に扱う不動産会社へ相談し、処分方法を検討しておきましょう。