共有持分の買取業者は危険?トラブル事例や失敗しない業者選びのポイントを解説
「買取業者とのトラブルとは?」
「失敗しない業者選びのポイントは?」
共有持分は買取業者に依頼することで買い取りしてもらうことができます。しかし未だ悪徳業者が存在し、買取業者とトラブルになるケースもあります。
この記事では共有持分の買取業者とのトラブル事例と悪徳業者の特徴、業者選びのポイントについて紹介するため、共有持分の買い取りを検討している方はぜひ参考にして下さい。
■1.共有持分買取業者のトラブル事例
ここでは共有持分の買取業者とよくあるトラブル事例を3つ紹介します。
1-1 買い取り業者なのに仲介手数料を請求してくる
買取業者に買い取りしてもらう場合、仲介手数料は発生しません。しかし買取業者に持分を売却する際に仲介手数料を請求され、音信不通となってしまった事例です。
仲介手数料とは、不動産の買主と売主の仲介を行う不動産会社へ支払う手数料で、売買代金の3%に6万円を加えた金額を支払います。本来、宅建業の資格を保有している買取業者であれば、自分で仲介できるため、仲介手数料を支払わないケース一般的です。
しかし、あえて売主に仲介手数料を請求したり、他の業者に仲介を依頼して手数料だけ取る悪党業者もいます。もちろんその後は音信不通となってしまうことがほとんです。
さらに当初の目的であった持分売却もできないため、再度別の業者を探さなければいけない事態になり、余計な費用とお金がかかったという事例です。
1-2 明らかに安い査定額を提示してきた
持分の買取相場がわからないことで、相場価格より安い査定額を提示してきた事例です。
不動産の取引経験が少ない方は、相場がわからず、専門家である買取業者に任せておけばよいという気持ちから、言われるがままの金額で買い取りされてしまった失敗例です。
持分の買い取り価格は、市場価格の3割から6割で買い取りされるのが一般的です。市場価格は国土交通省の地価公示・地価調査・取引価格情報 にある、「不動産取引価格」で確認することができ、以下の計算式で持分買い取り価格を算出します。
買取業者の持分買取価格=市場価格×持分割合×(3割~6割) |
しかし、3割はおろか、1割や2割の金額で提示してくる買取業者もあるため、複数社比較するのが鉄則です。
1-3 他の共有者と共謀していた
自分の持分を他の共有者が買い取りたいため、買取業者と共謀しておりトラブルになった事例です。共有者間で買い取る場合より、買取業者の方が安い金額で買い取るのが一般的です。そのため他の共有者が本人から持分を買取せず、買取業者を経由して買い取っていたというケースも見受けられます。もちろん売却した共有者からすれば不満を抱くことになりますが、法律上は問題がありません。とはいえ共有者同士で関係が悪化する可能性は高まることでしょう。
■2. 悪徳業者の特徴
買取業者に持分売却を依頼する場合は、事前に悪徳業者の特徴を理解する必要があります。ここでは4つの特徴を紹介します。
2-1 著しく安い査定額を提示してくる
明らかに安い査定額を提示している買取業者には注意しましょう。
安い金額を提示してくるということは、相場価格がわからない人を狙っているということです。もちろん安い金額を提示してくる業者全てが悪いというわけではありません。立地や共有者の人数によって買取価格が低くなることはありますので、まずは査定額の根拠を担当者に確認してみることが大切です。
明らかに金額が安いと感じた人は、2社3社と相見積もりを取り、相場価格を把握してから依頼しましょう。
2-2 執拗に契約を急かしてくる
相談者や共有者の気持ちを汲み取らず、執拗に契約を急かしてくる買取業者には注意しなければいけません。買取業者も営業マンですから、月内までに買取しなければいけない状態もあるかもしれません。
しかし共有者の気持ちがまとまっていないにもかかわらず、契約ばかりを急かしてくる業者は後々トラブルになる可能性も高くなります。
2-3 担当者に専門的な知識がない
共有持分は、複雑な権利関係であることから、不動産の知識に加えて、法律の知識も必要になります。
相談する側としては、はじめてのことで不安や疑問がたくさんあり、質問も増えるでしょう。
共有持分を専門としている買取業者であれば、不動産に関する法律などを網羅しているはずです。明らかに質問に対して受け答えが不十分な場合、別の業者に依頼することも検討しましょう。
売却後に後悔しないためにも、業者選びや担当者選びで妥協してはいけません。
2-4 宅地建物取引業の免許を持っていない
そもそも宅地建物取引業の免許をもっていない業者には依頼してはいけません。原則宅地建物取引業に該当する行為を行う者は宅建免許を保有していなければいけず、無免許での営業は罰則の対象となります。
もちろん例外的に免許が不要で宅地建物取引業を行うことができる信託銀行や地方公共団体もありますが、不動産の買取や仲介業者を生業としている会社はほとんどのケースで宅地建物取引業の免許を保有しております。
宅地建物取引業の免許を保有していない業者は、仲介手数料などをもらって音信不通になる可能性もあるため注意しましょう。
あなたの大切な資産である不動産を任せる訳ですから、ホームページや実際に事務所に来店するなどして、実態を確かめましょう。
■3. 共有持分を依頼する業者を選ぶポイント
ではどのような業者を選べばよいのでしょうか。ここでは業者を選ぶポイントを3つ紹介します。
3-1運営歴・実績を確認する
依頼する不動産業者のホームページなどを見て、運用歴や実績を確認するようにしましょう。継続的に買取している業者であれば、悪徳業者ではない可能性が高いです。悪徳業者は警察などに情報を知られたくないため、ホームページなどを作成していない可能性も高いです。また会社の所在地なども偽装していることが多いです。
しかし優良な買取業者の場合、いままでの取扱い実績をしっかり公式サイトに載せていることが多いです。
知らない方も多いですが、宅地建物取引業の免許には以下の例のように宅建番号が記載されており、数字が大きいほど長い期間免許の更新を行ってきたことを表します。
<宅建番号の一例> 「東京都知事(1)第○○○○○号」 「国土交通大臣(1)第○○○○○号」 |
もちろん「数字が大きい=会社歴が長い=信用できる」というわけではありませんが、より安心して任せたいという方は一つのチェック事項として理解しておきましょう。
3-2弁護士が相談や契約時に同席してくれる
共有持分の売却を依頼した後に他の共有者とトラブルになる可能性も高いことから、弁護士のいる不動産業者がおすすめです。また既に他の共有者と揉めている場合や、裁判に発展する可能性が高い場合、弁護士がいればより心強い味方となります。
ホームページ上で、「弁護士と提携している」と謳っていても、実際には一切弁護士と相談者が顔を合わせることがない業者もたくさんあります。
必ず、初回の相談時や売買契約時に弁護士が立ち会ってくれる業者を選びましょう。
3-3査定価格の根拠を提示してくれる
不動産査定価格の根拠を提示してくれる業者であれば、信頼度も高まります。持分売却する方の多くは、査定相場を把握されておりません。根拠もなく査定額を提示されても、適切な金額であるか判断できないことでしょう。そのため査定額に対して明確な根拠があれば、より安心して任せることができます。
最も根拠として信頼できるのは、不動産鑑定士が作成した不動産鑑定書です。査定は、営業担当者が行う業者もありますが、必ず不動産鑑定士が査定をしている業者を選びましょう。
■まとめ
共有持分買取業者のトラブルはさまざまありますが、「仲介手数料だけ取られた」「明らかに安い査定額を出してきた」などの事例が多いです。
トラブルに発展しないためには、正しい買取業者を選ぶことが大切です。業者のホームページなどから運用歴や実績を確認し、信頼度のチェックを行いましょう。
また法的なトラブルに対処すべく、弁護士と直接面談できるかどうかも確認事項の一つです。
査定額については、不動産鑑定士が査定を行い、査定額の根拠を明確に示してくれる業者を選びましょう。